■第12回Kフォーラム

「ざっくばらん」フォーラム〜Going My Wayから融合の道〜」
開催日:平成24年8月2日(木)〜4日(土)
会場:ホテルアソシア高山リゾート


《 開催趣旨 》
第12回Kフォーラム実行委員会 世話人代表
名古屋大学・中京大学名誉教授 福村 晃夫
 N.Wienerの著書Cybernetics(1948)には“control and communication in 
The animal and machine“という副題がついており、著者はその1章で、いまはサーボ機構の時代であり、機構の基本要素について述べられるべきことがらは通信工学の課題であると言っています。
 ところで通信の自動化、ないしコンピュータ支援のディジタル通信が頭角を現すのは1965年近くからであり、その後、これにマイクロプロセッサとPCの発明が加わり、さらにネットワーキングが絡まって、ネットワーク上の生活世界が一挙にグローバル化しました。これが21世紀の“いま”であり、脳をコスモスになぞらえれば、これをWienerの予見とみなすことができます。
 しかし、この新たな生活世界はコンピュータ支援であるがゆえに、模写、模倣、模擬、模造、偽造を内包するシミュレーションをその文化の基底とすることの必然として、社会相は激しい変化、多様化を伴いながら流動して已みません。それゆえに人々は、数多くの、過去の頑なな社会的制約から解放されるとともに、そのことが、いままでの自己の存在を委ねてきたものの喪失につながって、裸の身体を露呈せざるをえなくなりました。
 いま大学の3年生たちは例外なくスマホなどのケイタイを手にして会社説明会に詰め掛けています。彼らはネットワークを介してほぼ完全な接続の状態にありますが、身元引き受けの保証があるわけではなく、断絶が見え隠れしています。この格差のなんと大きいことか。
 いま彼らの身体は次なる文化を求めることを喫緊の課題としていることでしょう。それは一体なにがもたらすのか。激動するこの時代を招来したのは情報技術であったのと同じようにして、未来社会を新たなテクノロジーの上にのせるしかないのではないでしょうか。人・身体・脳・知能・言葉の融合研究を基底にした、これから育つ、革新的テクノロジーが期待されます。彼らはそれらを用いて新しい表現法と新しい言語を創発し、コミュニケーションの新形式を見つけて時代に応じたコミュニティーの創造に勤しむことでしょう。若手研究者の活躍を待つことや大であります。



プログラム
(敬称略)
8月2日(木)
13:30 フォーラム開会
はじめに−世話人代表 挨拶
1 13:40
世話人代表 福村 晃夫(名古屋大学・中京大学 名誉教授)
2

13:45

「言語のチャンキング」
松原 茂樹(名古屋大学大学院情報科学研究科 准教授)
3

14:45

「理論と実践の間での知識の循環と活用を支援するための学習・教授知識のモデル化と活用」
林 雄介(名古屋大学情報基盤センター学術情報開発研究部門 准教授)
4 16:10 「人工知能技術のソフトウェア工学へのかかわり」
佐伯 元司(東京工業大学大学院情報理工学研究科計算工学専攻 教授)

8月3日(金)
5 9:00
「ユビキタス社会における大規模データ処理とクラウドソーシング」
河口 信夫(名古屋大学大学院工学研究科計算理工学専攻 教授)
6 10:00 「ネットワーク構造の知的処理」
村田 剛志(東京工業大学大学院情報理工学研究科 准教授)
11:05
「ゲームにおける人間の思考とコンピュータの思考」
松原 仁(公立はこだて未来大学システム情報科学部複雑系知能学科 教授)
14:00 「エージェントに惑う人間」
片上 大輔(東京工芸大学工学部コンピュータ応用学科 准教授)
9 15:00 「触覚が導く初期胎児行動発達構成論」
森 裕紀(大阪大学大学院工学研究科知能・機能創成工学専攻 助教)
10 16:00 「質感研究の現状と展望」
中内 茂樹(豊橋技術科学大学大学院工学研究科情報・知能工学系 教授)

8月4日(土)
11 9:00
「高齢者と共生するロボットBaby Loid」
加納 政芳(中京大学情報理工学部機械情報工学科 准教授)
12 10:00

「哲学的ロボティクスとロボット工学経由の哲学」
井頭 昌彦(一橋大学大学院社会学研究科 講師)